「目的は一つ」
心を今残すと書いて残念
そうならないように
目的にただひたすらに
突っ走って
やりたいことも我慢して
ぼくはガンになった。
余命宣告の恐怖
人生を楽しむことの大切さ
をそこで学んだはずだった
父のお見舞いに毎日行き
父の体調悪い日はあたられ煙たがられて
やめてしまったお見舞い
二週間に一回とか
行かなくなってしまった
続けるべきだった。
まだまだ大丈夫だろう
とたかをくくった
電話がかかってきたら
ガンのせいで
声がかすれて
とても聞き取りづらいのもあり
「わかった、わかった、行くから待ってて」
と二日待たせる日もあった
ずっと入院してて
暇だろうと
渡したタブレットを
必死に触って
壊したと連絡が入ったときも
すぐに行動できず待たせた
修理の間に暇だろうと
新しく買ったタブレットを
渡しに行くの明日でいいだろうと
先伸ばしにした結果
最後のときに立ち会えず
タブレットも渡すことができず、後悔しかない。
周りからよく頑張った方だよと言われ
口では「そうだよね」と
言うも心では納得できてない。
もっと一緒に過ごしたかった
恥ずかしがらないで
抱きついたりすればよかった
昔の話をされた時に
またはじまったと思って
適当に頷くのではなくちゃんと耳を傾ければよかった
もっと励ましてあげればよかった
火葬場で燃やされ
灰と骨になった今ではもう叶わない
看護師さんに
孫に覚えててもらえない
のに死ぬのは辛いと言った父
父の携帯を開き
メールの送信履歴を見て
こんなにも思ってくれていたのに
返せなかったことが
ただただ悔しい
目的はただ一つ
たくさんの人を助け
皆から助けてもらえる人になり
父に恥じない
自分に恥じないゆきかたを
すること。
一人だな
孤独だなと思っても
みんなが気をつかってくれる
ぼくもそんな人間で
ありたいと思う
幸せな時はいい
仲間が悲しいときは
飛んで駆けつけれる
そんな人になれるよう
生きていく。
お金を稼ぐことが
目的ではなく
お金はそのための手段
大切な人を
守る、助ける手段
少し休息して
また誰かのために
なれるよう頑張ります
弟なんてぼくより
五つも若く父を亡くし
妹は最後を看取った
今日だけでも
たくさんの人が死に
その周りが悲しんでいる
辛いのはぼくだけじゃない
53歳という
若さで亡くなってしまった父
30年という長い時間
他の誰よりも
無条件で心配してくれて
他の誰よりも
応援してくれて
ありがとう
もしも
来世があるなら
また父の子で生まれたい